組織文化Jan 30, 20198 分 READ

CircleCI がエンジニアリング マネージャーの採用から学んだこと

Lena Reinhard

エンジニアリング ディレクター

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注 (2020 年 8 月追記): このブログ記事の公開以降、採用プロセスにいくつかの変更が加えられましたので、簡単にご紹介します。プロセスを構成する段階のうち、「共同作業の実践」が廃止され、「製品チームの面接」が「プロダクト シンキング & 作業分解に関するディスカッション」に組み込まれました。これらの変更はプロセス期間の短縮を狙ったもので、実際に、この措置によって採用プロセスの有効性が高まっています。CircleCI では経験から得た学びに基づく継続的改善を大切にしており、今後も必要に応じてプロセスを改良していく予定です。

昨年 1 年間で「優れたマネージャー」の資質に対する CircleCI の考え方は大きく変化し、私たちは組織として何を求めているのか、何を重視しているのかについて多くの学びが得られました。この採用プロセスの大改革を進めた結果、何人ものすばらしい人材を獲得し、エンジニアリング マネジメントチームの規模は 2 倍になりました。今回の記事では、こうした取り組みから得た教訓を皆さんにもお伝えしていきます。

エンジニアリング マネージャーをエンジニアと同基準で採用していた

昨年、CircleCI でのエンジニア面接の方法についてのブログ記事を公開しました。ここで紹介されているとおり、当時はエンジニアとエンジニアリング マネージャーに同じ採用プロセスが使われていました。2018 年全体で見ると、この採用プロセスに従って選考された候補者は数百人に上ります。このプロセスは次のような流れです。

エンジニアの採用プロセス

書類選考 > 採用マネージャーによる電話面接 > Kata の実施 > マイクロスキル評価 > 最終審査 (共同作業の実践、CTO との面談、製品チームの面接) このプロセスの詳細はこちらのブログ記事でご確認ください。

2018 年初頭の時点では、エンジニアとエンジニアリング マネージャーで共通の採用プロセスが使用されていました。当時の CircleCI エンジニアリング マネージャーの求人条件は、応募者の技術的バックグラウンドと、社内チームの業務で使う技術のマッチングという点を非常に重視したものでした。これについては、昨年の記事に「候補者の価値観や優先事項と、入社後に率いることになるチームの価値観や優先事項に齟齬がないことを確かめることは非常に大切です。そのためコーディングの課題は外せません」と書いたとおりです。このプロセスで数人のエンジニアリング マネージャー応募者の選考を行っていたところ、思わぬ事態が発生しました。終盤の共同作業のために来社した候補者のマネジメント スキルが、私たちが望んでいたものとはかけ離れているケースが頻発したのです。選考がここまで進んでからミスマッチに気付いたのでは遅すぎます。

その結果、さらに大きな問題点が浮き彫りになりました。採用プロセスをできる限り共通化するという方針があったために、まったく的外れなスキルセットを候補者に求め、その要件に沿って採用体制を整えてしまっていたという事実です。私たちは当時、マネージャーは技術力が高ければ高いほど良いと考えており、Spotify のモデルを取り入れようとしていました。担当領域ごとにチームを編成し、さらにそのチームを横断するデリバリー チームとマネージャーを配置するやり方です。この方針に基づく組織モデルは順調に発展し、分散型のエンジニアリング組織のニーズに沿うようになりましたが、リーダーシップの部分にもっと厚みを持たせなければ、いずれは立ち行かなくなることに気付きました。

そこで私たちは、さまざまな領域のチームをサポートする役割を新たに導入しました。それが、チームのデリバリーに責任を持つチーム リードと、技術面の業務効率化を担うテック リードです。さらにエンジニアリング コンピテンシー マトリックスを刷新し、あらゆるレベルのあらゆるエンジニアに求められるリーダーシップを明文化しました。この変革が早い段階で一定の成果を挙げたこともあり、優れたエンジニアリング マネージャーの資質に対する私たちの認識はさらに掘り下げられ、より明確になっていきました。

大切なのは、エンジニアをサポートすること

マネジメントはエンジニアリングとは異なります。エンジニアリング マネジメントはまったく性質の異なる役割であり、求められるスキルも違うのです。その大前提を踏まえて、方針を立てなくてはなりません。現在の CircleCI では、エンジニアリング マネジメント職は人材管理、つまりエンジニア、テック リード、チーム リードの育成に専念しています。主な仕事は、直属のエンジニアとの定期二者面談によってキャリア開発について話し合い、目標設定、フィードバック、コーチング、メンタリングを行うこと、そしてチームの健全性の維持、知識共有、ビジネス バリューの実現、チーム間連携の強化などに複数のチームと関わりながら率先して取り組むことです。こうしたエンジニアリング マネージャーは、エンジニアにとっては自分のことを熱心に見守ってくれ、人間的・職業的成長のために時間と手間を割いてくれる存在であり、チームにとってもメンバーを指導しながら製品デリバリー プロセスを率いてくれる存在になります。

条件の見直しに伴ってプロセスを変更

エンジニアリング マネジメントの要諦を学んだ私たちは、このポジションを募集するにあたり、チーム メンバーを育成できる人材、ビジネス バリューを確実に提供できる人材という 2 つの条件に絞り込み、その旨を記載しています。また採用プロセスも見直し、面接でこれらの資質を早めに見抜けるよう、面接の各段階の構成に変更を加えています。同時に、より体系化された行動面接のプロセスをすべての候補者に実施するようにしました。

エンジニアリング マネージャーの新しい採用プロセスは次のような流れです。

エンジニアリング マネージャーの新しい採用プロセス

書類選考 > 採用マネージャーによる電話面接 > 共同作業の実践 > プロダクト シンキング & 作業分解に関するディスカッション > 最終審査 (エンジニアリング チームメンバーによる面接、マネジメントスキルの詳細評価、製品チームの面接 注: CircleCI では絶えずプロセスの改善に取り組んでいるため、今後さらに変更になる可能性があります。

新しいプロセスが重視する人材管理とビジネス バリュー達成のスキルは、次のような段階を経て評価されます。

1. 採用マネージャーによる電話面接: 採用プロセスを担当する採用マネージャーが候補者にさまざまな分野でのマネジメントの経験についてたずねます。
2. 共同作業の実践演習: エンジニアリング マネージャー 1 人が候補者とペアを組んで実施する、共同作業型の面接です。CircleCI で過去に発生したことがあり、現在も再発の可能性がある 2 つの問題を 2 人で協力して解決します。技術ペアリング演習と同じように、ここでも CircleCI の実際の業務環境をできる限り再現するようにしています。エンジニアリング マネジメントチームの一員として課題について話し合い、解決策を一緒に考案する場面は、CircleCI の日常業務で必ず発生するからです。この面接では、技術的な側面よりも、組織的な課題に取り組む姿勢や、同僚との共同作業の進め方を見ます。
3. プロダクト シンキング & 作業分解に関するディスカッション: この面接では、エンジニアリング マネジメントチームのさらに別のメンバーが、いくつかのテーマを投げかけて候補者と話し合いながら、業務とデリバリーに対する理解度を把握します。さらに、カスタマー バリューの考え方を知るための議論も行います。
4. エンジニアリング チームメンバーによる面接: この段階で、候補者が採用された場合に一緒に仕事をすることになるシニア エンジニアが 1 人登場し、CircleCI のチームが過去に遭遇した共同作業に関する問題について話し合います。候補者のメンタリング スキル、技術的な議論に新たな価値を提示する能力、自分の限界に対する認識力、技術面の方針を強権的にならず決定できるスキルなどが観察されます。
5. マネジメントスキルの詳細評価: 通常この面接は、エンジニアリング マネジメントチームのシニア メンバー 1 人が担当し、重要なリーダーシップ スキルやこれまでのマネジメント経験について深く掘り下げます。
6. 製品チームの面接: 最後の面接は CircleCI 製品チームのメンバー 1 人が担当し、製品やプロセス、健全なエンジニアリング チームの構築方法について意見を聞きます。

今後の予定

このように CircleCI では採用プロセスを大きく変革し、人材評価の根拠となる価値観とスキルを見直したことで、私たちの方針にかなう候補者を早い段階から見極められるようになりました。その結果、メンバー 1 人ひとりに気を配り、CircleCI の価値観に沿った価値観を持ち、エンジニアリング チーム全体を新たな成長フェーズへと押し上げてくれる、優れたマネージャーが続々と仲間に加わっています。

現在は、新たに作成された「エンジニアリング マネジメント コンピテンシー マトリックス」との完全な整合性を確保するために、さらに新しい採用プロセスに最終調整を加えている段階です (新しいマトリックスは近日公開予定です)。

CircleCI が考える価値観、CircleCI が考えるエンジニアリング マネージャーの役割を今回お読みいただきピンと来た方は、現在はヨーロッパ北米にてエンジニアリング マネージャーを募集していますので、ぜひ奮ってご応募ください。また、魅力溢れるチームで、あなたの成長を考えてくれるマネージャーと一緒に働きたいという方は、エンジニア職への応募を検討してみませんか。

また、今回ご説明した採用プロセスへのご意見もお待ちしています。以下のコメント欄またはメール (lena@circleci.com) にてお聞かせいただけますと幸いです。

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