例えば、OSの環境依存からの解放。これまで同社が利用してきたCircleCI Server version 2で
は、iOS用アプリの開発に必須となるmacOS上でのビルドが行えなかった。また、エンジニアの中には、構成をパッケージ化して再利用可能にする「CircleCI Orbs」を使いたいという声もあったという。「当時は、いずれもクラウド版(CircleCI Cloud)のみに実装された機能だったため、当社では使えませんでした。そのため、iOS用アプリのテストなどは、別環境で実施する必要がありました」と北村氏は振り返る。
CircleCIの手厚い支援の下で新バージョンへ移行
新たに発表されたCircleCI Server version 3では、システムアーキテクチャがKubernetesベースへ全面的に刷新され、クラウド版と同一になった。これにより、各種機能もクラウド版と同様のスピード感で実装されるようになっている。この情報を入手したLINEは、CircleCI Serverの新バージョンへアップグレードを決断した。
運用管理面でもメリットがあると判断した。LINEでは、社内の別システムでもKubernetesの活用を強力に推進している。プライベートクラウド環境にKubernetesクラスタを構築し、必要に応じて使えるようにする“Kubernetes as a Service”を実現。この環境を基に、ユーザーへの迅速なサービス提供などを具現化しているという。
なお、CircleCI Server version 2とversion 3ではアーキテクチャが大きく異なるため、導入/アップグレードに不安を感じる企業もあるだろう。また、Kubernetesの運用に向けてはコンテナなどの技術の理解も必要になる。「しかし、裏を返せば、これは“今どき”のアーキテクチャを自社システムに取り入れる絶好のチャンスといえます。紹介した通り、導入に当たってはCircleCIの親身なサポートが後ろ盾となってくれるため、過度に不安を感じる必要はないと思います」と北村氏は述べる。
ほかにもCircleCI Server version 3では、ワークフローのスケジュール実行やマトリックスジョブなど、多彩な最新機能をフル活用できる。格段に強化されたCI/CD環境が、よりユーザー満足度の高いサービスを目指すLINEのビジネスを支えている。
「CircleCI Server version 3 への本番移行の当日も、CircleCIは万一のトラブルに備えてリモート会議ツールで待機してくれました。」
コミュニケーションアプリ「LINE」を機軸として、コミュニケーション・コンテンツ・エンターテイメントなどモバイルに特化した各種サービスの開発・運営・広告事業を展開。加えてFintech事業、AI事業も展開する。ミッションに「CLOSING THE DISTANCE」を掲げ、世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることを目指す。